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先日、桐野夏生『メタボラ』(上下巻)を購入し、一気呵成に読んだ。すこーく紋切り型に言うと、「現在の下流社会の…」とか「若者たちの…」とか、そういう言葉で、この作品は語られるのだろうが、そういう鋳型に嵌めてまうにはあまりにもったいない。
桐野作品の多くが、現代日本の過酷の状況の中でサバイバルする様が骨格になっていると思う。それは、ミロ・シリーズの女探偵が主人公であっても、舞台が上流であっても(『グロテスク』)、下流であっても(『OUT』)、無人島であっても(『東京島』)、共通するものがある。 そんなわけで、主人公とは、少なくとも見かけ上共通点のあまりない私もかなり作品に没入して読み進めていった。 筋をあまり言うとネタバレになってしまうが、記憶をなくした二十代の若い男性が、無一文からサバイバルしていく過程で、徐々に記憶を取り戻し、驚愕の事実に直面するといったストーリーである。その浮かび上がった過去とは、主人公が家庭崩壊の中で大学を中退せざるをえず、フリーターとなるが、工場の過酷な労働等(ここは少しぼかしておきます)に耐えきれず、沖縄に向かった、というものだ。 この辺が桐野夏生の巧い所かもしれないが、私もたまたま上手くレールに乗っただけで、ひょっとしたら主人公のような人生を辿ったかもしれない、とふと考えてしまう。それと、上で書いたように、私は無一文で記憶をなくして生活したことはないが、現在をサバイバルするという意味では共通している。 そう言えば一昨年、自転車で転倒した時、ほんの数分間に過ぎないけれど、その時の記憶をなくした。これは、全く奇妙な体験である。それまでの自分が自分でなくなってしまったような、変な感覚がする。私の場合、左頬の箇所を骨折し、顔が微妙に変わったのも関係しているかもしれない。 もちろん『メタボラ』の主人公の設定から見れば、あまりに些細なことなのだが、それでも主人公に感情移入できる。 本筋に関係ないようにも見える、フラフラしている若者たちを上手く利用している(活用している)オヤジたちの描き方も巧い。「いるいる、こういうヤツ」と思ってしまう。
by evianetvian
| 2011-12-30 01:04
| 読書
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